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誰か愛を証明して 

ハーゲンダッツのクレームブリュレを一口食べた瞬間、あたしの脳は350円の価値を理解した・・・


これは100円では表現できない味です。

おいしい。
何度食べても、おいしい。


妹の分にとっておこうと思ったティラミスに手が伸びる。

傷心中の姉をおいて沖縄旅行を楽しんでるんだからこれぐらいは許してもらおう、ともっともらしい理由をつけておく。

やっぱり、こっちもおいしい。





同じものを食べてもそれをおいしいと感じるかどうかは、人によって違うってことは当たり前のことだけど、
実はすごくおもしろいんじゃないかと思う。


食べ物に限らず、前に彼と(正確には別れた彼と)夜景を見たとき、
目をキラキラさせて(いたと思う)感動しているあたしの横で、彼は全く逆の切なそうな悔しそうな表情をしていたこともあったし。




物を見て、聞いて、味わって、
そしてでてくる感情って脳の中でどう法則づけられているんだろう。


どうも最近、大して詳しくない癖に脳科学に理由を求めようとしてしまう。

誰か、愛を証明して。
そういうのってバカらしいのかな。


あたしには今のままじゃ理解できないんだもの。







人は、誰かしらに必ず影響を受けて生きている。

もっというと、その影響力が大きいか小さいか、気づかないくらい小さいか、は別として、
出会った人全てに影響を受けて生きているんじゃないかと思う。

だって、何かをおいしいとか嬉しいとか感じるのって、
もともと備わった発達だけじゃなくって、
誰かとの思い出やとりとめのない会話に基づくものじゃない。

それって全部脳に蓄積されてゆくもの。






あたしは人から影響を受けることが多い。と彼(正確には別れた彼、以下略)に言われたことがある。


そんなあたしを、彼は自分がないみたいで嫌だったみたいなのだけれど、
あたしはそんな自分が好きだった。



あたしにだってゆずれないものはあるし、変わらない自分がほとんどだ。
だけど、誰かの感性に触れて、それに共感できるって素敵なことだと思うから。
だからあたしは積極的に影響される。


でも今ゆっくり考えると、あれは影響されるっていうより、共感できるテリトリーが人より(彼より)広かっただけだと思う。


自分と違うものや人を理解するにあたって必要なものって、
理解したいっていう気持ちと、
今までの体験と、
知識と、
想像力、だと思う。

だからあたしはそれらの体験とか知識とか想像力ってものを総動員して、
相手の考え方に触れたかったんだ。



それは、あたしのいいところだって思ってた。

だけど、彼にとっては違ったらしい。




同じように、彼がすきなことをあたしはすきでなかったかもしれないし、
彼が嫌いなことをあたしはすきだったかもしれない。

ひとつひとつは些細なものだったのに、
積み重ねって、恐い。


むしろ、「ひとつひとつは嫌いだけど全体としてはすき」ってドラマのセリフみたいに言えればよかったのに。





だめだ・・・

考えないようにすれば全く考えなくて済むのに、
考えることといったら彼のことしか出てこない。

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非通知着信 

08:05
非通知設定

珍しく、非通知から着信があった。

あたしは、非通知は着信拒否にしているから、
かけてきた方は繋がらないことになっている。

履歴だけが残る。

「彼だ」

と思った。何の疑いもなく。

なぜなら、今日は教員採用試験の最終面接だから。

彼には、別れる前に試験日を教えてたから。
そして、彼は絶対に覚えてる。

応援メッセージの代わり…なんだと思う。

嬉しかった。
すごく、すごく。

あたしはやっぱり彼に助けられてることに、改めて気付く。

悔しいような、嬉しいような。

なんて、
ただの非通知だったりしてね。

空洞を塞ぐ方法 

効き過ぎた冷房とすっかり冷めてしまったカフェミスト。

外は暑いのに中は寒いなんて、ヒートアイランドの悪循環だ…

彼とよく待ち合わせていたカフェで、
あたしは文庫本を読む。

そして時々、外を歩く人を眺めて考えごとをするでもなくぼーっとする。


いや、最近は考えることが増えた気がする。




2週間前の月曜日。
あたしはここで泣いていた。

正確には、泣きたいのをこれでもかってくらいに堪えていた。


別れを口に出したのはあたしだった。
随分前からお互い別れたほうがいいと知ってた。

結論が先延ばしになっていたのは、
実行に移すのはどちらか押し付け合ってのか、迷いがあったからなのか、
その両方なのかもしれないけれど、
とにかく先に別れを切り出したのはあたしだった。





「人に、『代わり』なんてないよ。誰かの代わりを探すなんて無理だ。」

眩暈がした。
右手に持つグラスが2重3重に見えた。

大衆居酒屋のチェーン店。
1週間前
いつになくハイペースに2杯目をオーダーしたあたしに、友人が言った。

「代わりを探そうとしちゃだめだ」

一瞬、周りをうずまくサラリーマンの愚痴や高い声で笑い続ける100dBを超える喧騒が、
20dBくらいにダウンした。

「代わりなんていない…」
「そう。澪は彼の代わりになる人なんていないって言うけど、もともと人には代わりなんてないものだよ。代わりって考えちゃだめだ。」

2歳年下の友人が、あたしを諭すように言った。

「そっか。そうだよね。」
あたしの声は100dB以上の喧騒の中に加わった。





マグカップに目を戻して一口飲む。
ん、今日の豆、おいしくない。
彼もすきじゃないだろうな、この味。
彼は苦味が強いのが好きだった。


あ、
…まただ。

最近どこへ行っても「彼なら」「よく彼は」「彼と来た」


彼の記憶が神経細胞に乗ってあたしの脳を駆け巡る。

これじゃぁ、よく聞く失恋病みたい。
感傷に浸るなんてすきじゃない。



「ダサ…」

呟いて自嘲してみる。




代わりがいないなら、
彼がいた場所は空席のままになってしまう。

思い出に浸るのは、
もしかしたら、空席を思い出のパーツでどうにかごまかそうとするからなのかもしれない。

脳には今までいた形跡がインプットされているから、
いるはずだった場所にいるはずの人がいない時、
思い出のパーツを引き出しているはずの場所に埋め込もうとするんだ。

きっと、そうだ。



もし「場所」がすっぽり抜けた空洞みたいなものだとしたら、
まったく同じ形をしたものじゃないと適合しない。

まったく同じ人間なんていない。

つまりは、「代わりはいない」のだ。


だからその場所を埋めるには、しばらくは思い出で応急処置をして、
あとは3通りしかない。

①似たようなパーツを探す
②時間に任せて自然治癒力で空洞を塞ぐ
③新しいパーツに合わせて自分の空洞を少しずつ変形させる

ただし、変形させるにはそれなりの労力が必要で。

あたしにはまだ無理だ。




体がすっかり冷えてしまったのは、
冷房のせいなのか、記憶のせいなのか。

冷め切った残りのカフェミストを一気に飲んだ。




彼は、冷めたコーヒーが嫌いだった。

元カレ 

今日、元カレに会った。

帰りの電車に乗った瞬間、目の前にいたのは紛れも無く彼。

帽子をかぶっていて、ちょっと痩せていて、そしておしゃれ程度に伸ばしたヒゲで、
一瞬迷ってしまったけれど、

迷いながらも勝手に声をかけたら、やっぱり元カレだった。

でも、
彼とつきあってたのは、元カレというには余りにも昔の話で、
元カレとしての懐かしさは全くなく、むしろ久しぶりに再会した一同級生だった。

会うのは成人式以来。

あの時は一言くらいしか話さなかったから、
余計に感じたのかもしれないけれど、

彼は、変わっていた。

外見もだけど…
いや、外見は大して変わってないけど、
なんだろう、雰囲気?

雰囲気はそんなに変わらないか…

うーん。

落ち着いたのかな。

就活終わった云々の話をして、
彼は大手の商社で新社会人になる道が決まったらしい。
再来年には海外に飛ぶと。

あたしは今週の土日が教員採用試験だから追い込み…と言ったら、
電車を降りるとき、「頑張れよ」と応援してくれた。

みんな、別々の道を別々の想いを抱いて歩んでいく。

不満を言いながら、誰かに守られていた頃のあたしたちは、
あの頃の未来である今をどう思い描いていたんだろう。

確実に今、
精神的にも経済的にも、自立への道を歩み始めているんだと、実感した。

試験まで、あと3日。

やれることは、まだある。

たとえ、どんな結末が待っているとしても 

「ねぇ、悟」

裕子がぼくの肩越しに声をかけた。

「うん?」

「人はどうして口じゃなくて鼻で息をするんだと思う?」

ぼくはしばらく考えてみた。

「わからない」

ぼくは言った。

「さっぱりわからないよ」

裕子は嬉しそうにくすくす笑うと、それはね、と言ってからもったいつけるように小さな間を置いた。何だか、幼い子供が手の中に隠したきれいな貝殻をそっと見せるときのような、そんな仕草を思わせた。

「それはね、キスをするときに息が苦しくならないようになの」

ひとには鼻があるおかげで、どんなに長くだってキスを続けられるんだよ。そう言って、裕子はぼくの首に冷たい唇を押し付けた。

じゃあ、馬の鼻は? 蛙の鼻は? という疑問が凍えた頭に浮かんだが、それは凍えた思考がもたらした凍えた問いかけだった。思えば、そんな鼻の機能を必要とするような長いキスは、もうずいぶんと長い間していなかった。

「鼻があって良かったね」

裕子が言った。

「おかげですいぶんたくさんのキスをしてきたよね」

そうだね。

ぼくはペダルを踏みながら何度も頷いた。






[Separation-きみが還る場所/市川拓司]より











あたしの欲求の対象物は思った以上にその欲求を満足させてくれました。

まだ、途中なんだけど。

グッときた一説を抜粋してみました。



おすすめを読んでみたい、という勇気のある方は、どうぞ。

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